こんにちは。京都市のいなば動物病院です。
今回は、特に高齢の小型犬や猫でよくみられる「口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)」という病気について、解説します。
口腔鼻腔瘻とは?
口腔鼻腔瘻とは、歯茎や上あごの骨が失われることによって、口の中と鼻の中がつながってしまう病的な状態のことです。本来、口腔(口の中)と鼻腔(鼻の中)は別々の空間ですが、何らかの原因でその間に穴(瘻管)があくことで、口と鼻が開通してしまうのです。
この病気は「上顎犬歯」や「上顎の奥歯」でよく見られ、症状が進行すると慢性的なくしゃみや鼻汁、口臭、食欲低下などが見られるようになります。
なぜ起きるの?原因と仕組み
口腔鼻腔瘻の主な原因は「重度の歯周病」です。犬や猫では、歯垢や歯石の蓄積が進行すると歯肉炎から歯周炎へと進み、最終的に歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。
特に上顎犬歯は鼻腔に近く、薄い骨の層で仕切られているだけなので、歯周病によってこの骨が失われると簡単に口と鼻が貫通してしまいます。
その他、以下のような原因でも口腔鼻腔瘻が形成されることがあります
- 外傷(交通事故や咬傷など)
- 口腔内の腫瘍(がん)
- 電気コードの噛みつきによる火傷
- 犬歯の抜歯後の合併症
- 不正咬合や好酸球性肉芽腫などの特殊な病気
どんな症状が出るの?
口腔鼻腔瘻では、次のような症状が見られます
- 鼻汁(血や膿が混じることも)
- くしゃみ
- 鼻を気にする仕草
- 食欲の低下
- 鼻や口からの悪臭
見た目ではわかりにくいこともありますが、これらの症状が続いている場合、全身麻酔下での口腔内検査や歯周プロービング、X線検査などによって診断されます。
治療方法は?
口腔鼻腔瘻の治療は、その原因によって異なりますが、歯周病によるものが最も多いため、以下の治療が一般的です。
罹患歯の抜歯と瘻管の閉鎖手術
瘻管が確認された場合には、問題の歯を抜歯し、粘膜骨膜フラップという方法で穴をふさぐ手術を行います。傷口にテンション(引っ張る力)をかけないよう丁寧に縫合することが成功のポイントです。
予防と早期発見のために
口腔鼻腔瘻は、重度の歯周病から発生することが多いため、日頃のデンタルケアが最も重要です。
- 歯みがき
- 定期的な動物病院での歯科チェック
- 異変に早く気づくための観察(くしゃみ、鼻汁、口臭など)
また、口腔内に問題がないように見えても、すでに深い歯周ポケットが形成されていたり、反対側の歯も同時に侵されていることが少なくありません。麻酔下での検査によってはじめて病気が見つかることも多いため、全身麻酔下の歯科検査・処置は非常に有効です。
まとめ
- 口腔鼻腔瘻は、歯周病などにより口と鼻がつながってしまう状態
- 主な症状は鼻汁やくしゃみ、口臭など
- 治療には抜歯と瘻管閉鎖手術が中心
- 早期発見と予防がとても大切
気になる症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
お口の中のトラブルは、全身の健康にも大きく影響します。早めのケアで、愛犬・愛猫の健やかな生活を守ってあげましょう。
いなば動物病院
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